アナルトリー(anarthria)
アナルトリーは失構音と訳される場合もあります。
発語失行という用語もありますが、‘失行’という語の使用に問題があり、今日、アナルトリーの用語がもっとも汎用されています。
障害の特徴
障害は、発語の問題であり、その内容はふたつの要素により構成されます。
ひとつは構音の歪み、もうひとつは語を構成する音と音の繋がりの問題です。
構音の歪みは、構音障害と同じように、音が不明瞭化し、母語の表記方法で表現できない音になることです。音の繋がり不全は、たとえば「おんがく」というところを、「お、んーがっ、く」等となってしまうような現象をさします。
構音の歪みと、音の繋がり不全は、その時々によって、誤ったり、正しかったりという変動と、障害のされかた(どの音に、どのような歪みが出るか、どの音とどの音が切れてしまったり、引き伸ばされたりするのか)の変動があります。この点が構音障害との相違点です。
アナルトリーの病巣
アナルトリーは左中心前回およびその皮質下の損傷で出現します。左中心前回の中でも、上下の位置関係では中~下方部、前後の位置関係では、後壁が重要です。