統一多系統萎縮症評価尺度 UMSARS (unified MSA rating scale)





統一多系統萎縮症評価尺度 UMSARS (unified msa rating scale)

評価表はこちら↓
http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/sca_umsars.pdf

Part I : Historical Review (Part I の総点:   / 48 点)(特定できない時は)患者あるいは介護者に対する質問により、過去2 週間の平均的機能を評価する。患者の状態に最も適合する点数をつける。臨床上のサインとは独立して機能を点数化する。

1. 会話
0. = 正常
1. = 軽度に障害されるが、容易く理解可能
2. = 中等度の障害。
時々(半分以下)聞き返す必要あり
3. = 高度の障害。
何度も(半分以上)聞き返す必要あり
4. = ほとんど聞き取り不能

2. 嚥下
0. = 正常
1. = 軽度障害。むせがあっても1 週間に1 回以下
2. = 中等度障害。
食事を誤嚥し、1 週間に1 回以上むせる
3. = 高度障害。しばしば食事を誤嚥する
4. = 経鼻胃管あるいは胃瘻による栄養

3. 書字
0. = 正常
1. = 軽度障害されるが、 すべての文字が読める
2. = 中等度障害され、半分くらいの字は読めない
3. = 高度に障害され、ほとんどの字が読めない
4. = 不能

4. 食事と食器の扱い
0. = 正常
1. = やや遅いか拙劣だが、介助は不要
2. = 遅くて拙劣だが、大抵の食物は扱える。介助が少し必要。
3. = 予め食物を食べやすい状態にしてもらう必要があるが、ゆっくりなら自分で食べられる。
4. = 全介助

5. 更衣
0. = 正常
1. = やや遅いか拙劣だが、介助不要
2. = ボタンをはめる時や、袖に手を通す時に介助が必要な時もある
3. = かなりの介助が必要だが、部分的には一人で出来る
4. = 全介助

6. 衛生
0. = 正常
1. = やや遅いか拙劣だが、介助不要
2. = シャワーあるいは入浴に介助が必要、あるいは衛生ケアに非常に時間がかかる
3. = 洗顔、歯磨き、整髪、トイレ使用に介助が必要
4. = 全介助

7. 歩行
0. = 正常。
1. = 軽度障害。介助は不要。補助具は不要(関連のない疾患に対する補助具は除く)
2. = 中等度障害。介助あるいは歩行補助具が時々必要

3. = 高度障害。介助あるいは歩行補助具が頻回に必要
4. = 介助があっても歩行不能

8. 転倒(先月の回数)
0. = なし
1. = 滅多に転倒しない(1 ヶ月に1 回未満)
2. = 時々転倒(1 週間に1 回未満)
3. = 1 週間に1 回以上転倒
4. = 1 日に少なくとも1 回は転倒(歩けない場合も「4」と評価)

9. 起立性症状
0. = 起立性症状(失神、めまい、視覚障害、頸部痛。臥位になると楽になる)はなし
1.= 稀で日常生活が制限されることはない
2. = 少なくとも1 週間に1 回。時に日常生活が制限される
3. = 大抵の場合に生じるが、通常1 分以上立っていられる。日常生活の多くが制限される
4. = 立位の時には持続的に生じ、通常立位を保てるのは1 分以内。立とうとすると失神するか、しそうになる

10. 排尿機能
0. = 正常
1. = 尿意切迫あるいは頻尿だが、薬物治療不要
2. = 尿意切迫あるいは頻尿があり、薬物治療が必要
3. = 切迫性尿失禁あるいは残尿により間欠的自己導尿が必要
4. = 失禁によりカテーテル留置が必要
*排尿症状は他の原因によるものではない

11. 性機能
0. = 問題なし
1. = 健康な時期に比べて軽度の障害
2. = 健康な時期に比べて中等度の障害
3. = 健康な時期に比べて高度の障害
4. = 性的活動は不可能

12. 腸機能
0. = 以前のパターンと変わりなし
1. = 時に便秘するが薬物治療は不要
2. = しばしば便秘し、緩下剤が必要
3. = 慢性的に便秘で緩下剤か浣腸が必要
4. = 自発的な腸の動きがない


Part II: Motor Examination Scale
(Part II の総得点:   / 56 点)
四肢のうち最も重症な部分により評点する

1. 表情
0. = 正常
1. = 表情はやや乏しいが、ポーカーフェイス程度にも取れる
2. = 軽度だが明瞭な表情の減少
3. = 中等度の無表情。口が開いていることがある
4. = 仮面様顔貌。口は0.6cm 以上開いている

2. 言語
患者に標準的な文章を数回繰り返し発音してもらう
0. = 正常
1. = 軽度だが遅く、不明瞭、または発声困難。発話を繰り返してもらう必要はない
2. = 中等度に遅く、不明瞭、または発声困難。発話を時々繰り返してもらう必要がある
3. = 高度に遅く、不明瞭、または発声困難。発話をしばしば繰り返してもらう必要がある
4. = 理解不能

3. 眼球運動障害
水平にゆっくり動かす検者の指を追視させること、異なった場所にある指を側方視させること、約30O 開いた極位にある二本の指の間でサッケードを行わせることにより、眼球運動を検査する。検者は次の異常サインを評価する:(1)滑動性眼球運動の欠落、(2)45O 以上の眼位で生じる注視性眼振、(3)45O 以内の眼位で生じる注視性眼振、(4)サッケード性ハイパーメトリア。(3)の存在は、(2)の存在が前提なので、少なくとも2 つの異常なサインが存在することを示唆する。
0. = なし
1. = 1 つの眼球運動の異常なサイン
2. = 2 つの眼球運動の異常なサイン
3. = 3 つの眼球運動の異常なサイン
4. = 4 つの眼球運動の異常なサイン

4. 安静時振戦(最も重症な肢を評点する)
0. = なし
1. = 軽度でごくたまに出現
2. = 振幅は小さいが持続的。あるいは中等度の振幅で間欠的
3. = 中等度の振幅で大低の時間出現
4. = 振幅が大きく、大低の時間出現

5. 動作時振戦
進展した上肢の姿勢時振戦(A)と、指差しでの動作時振戦(B)を評価する。タスク(A)と(B)で重症なほうの振戦を最も重症な肢において評点する。
0. = なし
1. = 軽度の振戦(A)、指差しで干渉なし(B)
2. = 中等度の振幅(A)、指差しで少量の干渉(B)
3. = 著明な振幅(A)、指差しで著明な干渉(B)
4. = 重度の振幅(A)、指差し不能(B)

6. 筋トーヌス上昇(最も障害の強い肢で評点)

患者を座位にし、リラックスさせた状況で、受動的な動きを評価する。歯車様筋強剛は無視する。
0. = なし
1. = ごく軽度であるか、鏡像または他の動作により誘発した時のみ検出される
2. = 軽度~中等度
3. = 著明だが、可動域内は容易に動かせる
4. = 重症で可動域内を完全には動かせない

7. 手のすばやい変換運動
手の回内外運動を、垂直あるいは水平に、可能な限りの振幅により、片手ずつ行い、最も重症な肢により評価する。このタスクの障害は無動や小脳症状によっても生じうることに注意する。背景にある運動障害を無視して動作を評点する
0. = 正常
1. = 軽度の障害
2. = 中等度の障害
3. = 重度の障害
4. = タスクがほとんど遂行できない

8. 指タップ
速く連続して可能な限りの振幅で指をタップさせる。それぞれの手につき少なくとも15~20 秒。このタスクの障害は無動や小脳症状によっても生じうることに注意する。背景にある
運動障害を無視して動作を評点する
0. = 正常
1. = 軽度の障害
2. = 中等度の障害
3. = 重度の障害
4. = タスクがほとんど遂行できない

9. 下肢の機敏さ
座位の状態で速く連続して足全体を持ち上げ、かかとで床をたたく。振幅は約10cm、悪いほうの足で評価する。このタスクの障害は無動や小脳症状によっても生じうることに注意する。背景にある運動障害を無視して動作を評点する
0. = 正常
1. = 軽度の障害
2. = 中等度の障害
3. = 重度の障害
4. = タスクがほとんど遂行できない

10. かかと-膝-脛テスト
一方の下肢を持ち上げ、かかとを休ませているほうの下肢の膝の上に置き、前脛部から足首へとスライドさせる。足関節に達したら、下肢を再び挙上し、約40cm 持ち上げてから一連の動作を繰り返す。正確な評価のためにはそれぞれの下肢について少なくとも3 回繰り返されるべきである。悪いほうの下肢によって評点する。
0. = 正常
1. = 軽度の障害
2. = 中等度の障害
3. = 重度の障害
4. = タスクがほとんど遂行できない


11. 椅子からの立ち上がり
手を胸の前に組んで背中がまっすぐな木または金属製の椅子から立ち上がる
0. = 正常
1. = ぎこちなく、一度でうまく行かないこともある
2. = 肘掛けに腕をつかないと立てない
3. = 立とうとしても座り込んでしまい、一回以上やり直しが必要だが、介助は不要
4. = 介助なしでは立ち上がれない

12. 姿勢
0. = 正常
1. = 完全な直立ではなく、ごく軽度前屈みの姿勢。高齢者なら正常でもありえる程度
2. = 中等度の前屈姿勢で明らかに異常。一側にやや傾くこともある
3. = 重度の前屈姿勢で後彎を伴う。一側に中等度傾くこともある
4. = 極度の前屈で極めて異常な姿勢

13. 姿勢反射
両足を開いて目を開けた状態でまっすぐ立った状態から、肩を持って突然強く後方に引いた時の自発的な姿勢反射と反応を評点する
0. = 正常。
1. = 軽度の体の動揺と後方突進現象があるが、自分で立ち直れる
2. = 中等度の体の動揺と姿勢保持障害があり、支えないと倒れる
3. = 重度の体の動揺があり、極めて不安定。自然に倒れそうになる
4. = 介助なしには立位保持不能

14. 歩行
0. = 正常

1. = 軽度の障害
2. = 中等度の障害。歩行困難だが独歩可能
3. = 高度の歩行障害で介助が必要。
4. = 介助があっても歩行不能

Part III: Autonomic Examination
臥位で安静にしてから2 分後と、立位になってから2 分後に血圧と脈拍を測定する。起立性症状は浮遊感、非回転性めまい、眼のかすみ、虚弱感、疲労感、認知障害、悪心、動悸、身震い、頭痛、頸肩部痛を含む
収縮期血圧
臥位    立位(2 分後)   ○ 記録不能
拡張期血圧
臥位    立位(2 分後)   ○ 記録不能
脈拍
臥位    立位(2 分後)   ○ 記録不能
起立症状   ○ あり   ○ なし

Part IV: Global Disability Scale
1. = 完全に自立。最小限度の困難や障害はあってもすべての雑用をこなすことが出来る。基本的
に正常。困難さは気づかれない
2. = 完全な自立とは言えない。いくつかの雑用には介助が必要
3. = さらに依存。半数の雑用には介助が必要。一日の大半を雑事に費やしてしまう
4. = 非常に依存的。時々雑用を自分で出来るか、自分だけで始められる。多くには介助が必要
5. = 完全に依存的で身の回りのことが出来ない。臥床状態