院内感染症と歯科衛生士


院内感染症と歯科衛生士

院内感染症とは「病院における患者が原疾患とは別に、新たに罹患した感染症、または医療従事者が院内において罹患した感染症」と定義されます。
医療従事者は院内感染の発症を未然に防止(prevention)することと、発生した感染症を拡大させないように制圧または管理(cotrol)する感染制御の責務があります。
欧米における感染対策の基本は、①感染リスクに対応した消毒レベル、②感染経路別の予防対策、③ユニバーサルプレコーションの理解で、日本の感染対策もこれに沿ってすすめられています。
歯科衛生士ScalingBrushing中の唾液・血液の暴露や針刺し事故など職務感染の危険性が高いといえます。しかし、歯科医療機関は個人開業医が殆どで、感染対策は院長のモラルと個々の歯科衛生士の判断に頼らざるをえない場合が多い状況です。今日、患者の感染予防意識も上がりつつあり、適切に提示できる院内感染予防対策は必須です。院長を感染制御対策者とし、実務者として感染制御担当歯科衛生士をスタッフ内で位置づけ、日頃からの情報の共有と認識の統一化・レベル化を図るためのマニュアル作成や勉強会が望まれます。
基本的には①患者のためになっていること、②医療従事者が保護されていること、③環境配備の概念があること、④経済的であることが考慮され、実践に対する評価も行い改善を図っていきます。
管理(control)と予防(prevention)の適切な組み合わせが大切となります。

日衛学誌JJSDH Vol1 No22007)より参照。