自律神経障害 糖尿病神経障害

自律神経障害 糖尿病神経障害

自律神経障害は、糖尿病神経障害の一つとしてしばしば認められる。自律神経障害は自律神経(交感神経・副交感神経)が関与する全身の機能異常であるため、症状は多岐にわたる。具体的には無自覚性低血糖、無症候性(無痛性)心筋虚血、起立性低血圧、心拍変動減少、瞳孔反応異常(対光反射の減弱に伴って瞳孔径が縮小)、発汗異常(下半身発汗減少、味覚性発汗の亢進)、胃無力症、便秘、下痢(通常腹痛を伴わない)、神経因性膀胱、勃起障害などがある。

通常、低血糖時には交感神経症状(振戦・動悸・冷や汗)を認め、さらに放置すると意識消失が起こる。無自覚性低血糖では、低血糖初期の交感神経症状なしに突然、意識消失発作が生じる。そのため診断・治療が遅れ、低血糖による不可逆的な脳障害に至ることがある。また、無痛性心筋虚血は、胸痛や胸部圧迫感などの典型的な心筋虚血症状を伴わない虚血性心疾患で、突然死の原因となるため注意が必要となる。気分が悪いなどの症状がしばしば自覚され、診断には虚血性心疾患を疑うことが重要となる。