強化インスリン療法(intensive insulin therapy)とは、可能なかぎり生理的なインスリン分泌動態に近似するよう外来性インスリンを投与する方法のことである。
追加インスリン分泌を補うための毎食前の超速効型または速効型製剤の投与と、基礎インスリン分泌を補うための 1 日 1 ~ 2 回の中間型または持効型製剤の投与を行うインスリン頻回注射法(3 ~ 5 回/日)と、持続皮下インスリン注入療法(CSII)がある。
強化インスリン療法による厳格な血糖コントロールの有用性が初めて示されたのは 1 型糖尿病における大規模臨床試験 DCCT で、2 型糖尿病に対しては日本で行われた Kumamoto Study である。
DCCT では、1 日 1 ~ 2 回のインスリン従来療法群に比べ、強化インスリン療法群において網膜症の発症・進展抑制が有意に高率に達成された。
Kumamoto Study では、網膜症と腎症いずれにおいても強化インスリン療法がその発症と進展の抑止に有用であるという結論でている。
糖尿病ケア 2010 vol.7 no.10 (999)より参照