運動に必要なエネルギーの供給方法には、有酸素的な方法と無酸素的な方法がある。運動強度が低いときは主に有酸素的な方法が働いているが、運動強度が強くなると無酸素的な方法が働くようになる。この無酸素的エネルギー供給が働き始めるポイントを、無酸素性作業閾値(AT:anaerobic
threshold)という。つまりATレベル以下の運動は有酸素運動となり、運動強度の目安の一つといえる。
ATは測定方法により乳酸性作業閾値(LT:lactate
threshold)または換気性作業閾値(VT:
ventilatory threshold)などとして表される。LTは運動強度増大に伴う血中乳酸値の上昇開始点として求められる。また呼気ガス分析測定を用いて呼気中の二酸化炭素量を測定すると、ある運動負荷から二酸化炭素排出量も急激に増加する。このポイントがVTになる。ATは健康成人でおよそVO2max50~70%に相当するとされている。AT レベルの運動は、自覚的にはBorg
指数の11~13程度、または息が切れず運動中会話が可能な程度となる。
糖尿病ケア 2009 vol.6 no.4より参照