関節可動域 (ROM:range of motion)


関節可動域 (ROMrange of motion

ROM とは関節可動域(range of motion)のことで、四肢および体幹の関節を他動的あるいは自動的に運動させた場合の可動範囲のことを指します。
ROM は関節構造の特徴や筋、腱、靱帯、皮膚などの関節外構造の伸展の程度によって規定されます。関節構造や軟部組織の伸展性には個人差があり、肥満度、性別、年齢も影響します。
ROM の主な制限因子は、①関節性因子(骨折後の変形治癒、変形性関節疾患など関節を構成する骨性因子の障害) ②関節包、靱帯など関節を構成する軟部組織性因子 ③疼痛性
因子 ④関節の上を覆う軟部組織性因子(皮膚や筋の短縮) ⑤神経学的因子(痙縮など)が挙げられます。
ROM が制限されると、日常生活を行っていくうえでさまざまな障害が生じます。上肢の ROM 制限は食事、整容、更衣、入浴、排便といった身の回りの動作に影響します。下肢の ROM 制限は和式生活を困難にし、歩行障害の原因になる場合があります。股関節・膝関節の屈曲制限(曲げる角度に制限がある状態)では、畳や椅子に座る動作、あるいはトイレ動作に支障をきたすことがあります。
また股関節・膝関節の伸展制限(伸ばす角度に制限がある状態)では、立ち上がり動作や立位保持、歩行に支障をきたすことがあります。
ROM を測定することは、可動制限のある関節を見つけてその程度を判定することで、日常生活動作能力を回復させる治療プログラムを立てる際に役立ちます。日常生活動作においてどの関節が問題となり、どのような治療が必要であるか考えることができます。
また、仮に関節に可動制限が残ってしまう場合であっても、その身体機能で日常生活を自立させるための練習を行うことや、環境を整備すること、補助具(装具やスプリントなど)を使用するか否かの判定の材料となります。

参考資料