歩行分析 歩容 gait analysis
患者を評価するときに、その手段の一つとして、 歩行(動作)分析を行います。 現在では、高額な動作解析装置を用いて細かい分析を行うことも多いですが、臨床的には、治療場面において肉眼で患者の歩容を観察 して異常歩行の原因を探ります。
それを基にその他の検査結果と併せて、歩行補助具等の選択も含め た治療方法を考えます。
歩行分析は、治療を進めていくうえで重要な情報となります。
リハビリ対象の患者は、特徴的な歩容を呈する異常歩行になるこ とが多いです。
たとえば変形性股関節症で痛みがひどい状態で何年も我慢してきた患者は、疼痛回避のための代償運動、一例を挙げれば体幹を健側に側屈させて患側股関節への負担を回避するような歩き方を、無意識のうちに、長年かけて習得しています。
当然使うはずの筋肉を使わず筋力低下が進んでおり、一方で代償運動によってその他の関節に負担がかかっています。
人工関節全置換術を施行して痛みが消失し、すぐに荷重可能となっても、歩容は簡単には変化しません。
痛みが楽になっても、そのままでは体幹での代償が残り、腰痛など二次的な障害 につながる可能性もあります。
その原因を見極めア プローチするうえで、どのような歩容か、というこ とが重要になってきます。
「もう少し病棟歩行を待ってほしい」は、安全性の問題ではなく、患者が自分の歩き方に気づき、使 うべきところを使い、他に負担をかけない歩き方を習得するまであと一歩、という場合にもお願いする ことがあります。