簡易懸濁法(simple suspension method)
簡易懸濁法は、嚥下障害がある患者や経管栄養投与を施行されている患者に対して、経鼻胃チューブ等を介し、薬剤の懸濁液を投与する手法である。錠剤の粉砕やカプセル剤の開封を行うことなく、そのまま、あるいはコーティングに亀裂を入れて、約55℃の温湯に投入し、およそ10分間放置することによって薬剤を崩壊・懸濁させた後この液を経管投与する。本手法では、経管投与に際して粉砕調剤を行うことがないため、粉砕による薬物の安定性の変化や、粉砕による薬剤のロス、製剤機能の損失(徐放性製剤や腸溶性製剤等)、調剤者への暴露等、粉砕調剤に伴う種々の課題に対して改善が期待され、近年、医療現場において注目されている。一方、注入器に吸い取れない薬剤やチューブを閉塞させる薬剤もあり、本手法を適用する際には、薬物、並びにその製剤の特性を十分に考慮する必要がある。また、懸濁液として投与した場合の薬物の吸収動態の変化(生物学的同等性)や、温湯中での薬物の安定性についても十分な検討が必要である。
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