ドライマウスの対処法
○原因療法
ドライマウスは原因を見つけて、その原因を除去することが治療の基本です。例えば、服用薬剤による唾液分泌低下が考えられる場合は、副作用の少ない薬剤への変更や薬剤量の減量が必要となります。しかし、対象となる疾患の治療のためには変更できないことが多いようです。
○薬物療法
唾液分泌改善に効果のある薬剤としてサリグレン、エポザックがあります。現在のところ、
シェーグレン症候群のみが健康保険の適応となっています。漢方薬では白虎加人参湯、麦門冬湯などが使用されます。
○機能的ロ腔ケア
顎下腺や耳下腺などに対するマッサージや、舌体操などの機能的口腔ケアにより、唾液分泌改善が期待できます。ただし、人工呼吸管理中の場合などで、脱水傾向にある時は、唾液腺マッサージによる圧迫で唾液を排出させるよりも、生理的にじわじわと分泌されるのに任せたほうが、口腔内の潤いを保つためには有効といわれています。
○うがいと水分補給
うがいを繰り返し行うと、口腔内の湿潤が保たれますが、イソジンガーグルのようなアルコールを含む洗口薬の使用は、アルコールの脱水作用により、口腔粘膜の水分が奪われ、乾燥を助長するので注意が必要です。水分補給は十分に行う必要がありますが、過度の水分摂取は腎臓や心臓に負担をかけてしまうので、腎機能や心機能が低下している方は、必要な水分量を主治医と相談するようにしましょう。
○保湿剤の使用
近年、オーラルバランスジェルなど、口腔内を保湿する商品が発売されています。
慢性期の場合は、単価を考慮しプラスチベースやプロペトなどを使用することもあります。
○その他
保湿装置(内側に水に湿らせたガーゼや人工唾液をいれておくと、中央の小さな穴から徐々
に染み出してきて、口の中が潤う)
開口や口呼吸により唾液蒸発量が過多となっている場合は、室内の湿度を上げることや、マスクの使用が有効なケースも少なくありません。睡眠中に口の乾燥がすすむ場合には、保湿装置(モイスチャートレー,モイスチャープレート)を使用するケースもあります。
難i病と在宅ケアvoL 17 No.102012.より参照。