口腔ケア 保湿剤の使い分けと注意点
セルフケアが可能であれば、リキッドタイプの保湿剤が口腔内で広がりやすく、手軽に乾燥感を除去できるので使いやすいとおもいます。
自己管理が困難な場合や嚥下機能に問題がある場合は、保湿剤の誤嚥を防ぐためにも、看護・介護者によるジェルタイプの使用が望ましいでしょう。
とくに痂皮状の汚物が付着したケースではジェルタイプの保湿剤の使用が効果的です。
皮膚では、代謝により上皮が生え変わり、剥離した上皮は「アカ」とか「フケ」と呼ばれます。
口腔内の粘膜も代謝し、剥離した上皮は、通常であれば唾液や食物とともに飲み込まれることで処理されています。
しかし、経口摂取が行われずに口を開いたままで口腔乾燥が起こると、代謝した剥離上皮は皮膜状に堆積し、無理にはがし取ろうとすると、粘膜表層をいためて出血してしまいます。
使用にあたっては手指やスポンジブラシの保湿剤を1~2cmとり、舌、舌の下の部分、口蓋、頬の粘膜、口唇の裏側の粘膜をマッサージするように塗布します。
乾燥の程度にもよりますが、この状態のまま2~3分すると、剥離上皮に保湿剤が浸透して、安全で容易に除去できるようになります。その後、通常の口腔ケアを行い、最後に必ず保湿剤をふき取ります。
閉口ができずドライマウスが進行した状態で保湿剤をそのままにしておくと表面が乾燥して硬化していきます。
乾燥・硬化した保湿剤を除去せずに、口腔ケアのたびに保湿剤を上塗りしてしまうと層がどんどん厚くなります。
そうなってしまうと、汚れの除去が困難になるだけでなく、保湿剤の腐敗、それに伴う口臭などを招くので十分な注意が必要です。