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発話の流暢性の評価尺度

ボストン失語症鑑別検査の発話の流暢性評価尺度


ボストン失語症鑑別検査では、発話の流暢性の評価尺度として6項目が設けられている。

流暢性の診断には,長い会話や自由会話における発話を基にこれら尺度を1~7点の7件法で評定し、プロフィールを図示する。

メロディー・ライン


正常では文全体にわたるイントネーションのパターンのことであり、強勢のある語におけるピッチや声量、持続時間の高まり、疑問文・平叙文・命令文による文末ピッチの変化が含まれる。
もっとも重度にメロディーが障害された場合、単語間や音節間にイントネーションによる結びつきがまったく認められない。中間レベルの“4”では、正常なメロディー・ラインが3語ないし4語の決まり文句的発話にまで認められる。発話長が4語以下の場合“4”以上の評定を得ることはできない。

句の長さ


ポーズまたは文の切れ目で区切られる切れ目のない発話の流れの中の単語数である。
尺度中の単語数は、およそ10回に1回以上生じるもっとも長い単語数で評価する。
したがって平均単語数ではなく、ときどき認められるもっとも長い発話長である。これは、臨床的には流暢な発話パターンを有していても、喚語困難のためにしばしば発話が途切れる患者がいるからである。この評価の精度を上げるためには、ときどき生じる長い発話にとくに注目して録音されたサンプルを聞けばよい。

構音能力


患者が音素系列を難なく発音できるかどうかを評価する。
検者は、ぎこちなさ、爆発的開始、音が出るまでのもがき、子音結合の単純化や構音が難しいための音の置換がないかよく聞く。
どの語も難なく産生されていれば最高得点を与えられる。
評価は、構音の障害の重症度とともに頻度でも評価する。
評価“1”は、全発話において構音が困難であることを示す。
中間の“4”は、短い比較的過剰学習された表現においてのみ構音が正常であることを示す。
その間の2段階は、中間と両極端との問に与えられている。

文法形態


“失文法的”ないし1語文発話から正常な文形態まで幅がある。
重度レベルでは孤立名詞が主体で、動詞+目的語以上の構文はめったになく、動詞はしばしば時制を欠いている。
忍女レベルでは、現在形または過去形の単純平叙文はあるが、従属節を含む文はない。
正常レベルでは、従属節条件節未来形、受動態を含む長い文が聞かれる。
錯語的誤りや未完成文があっても“文法形態の多様性”は正常として差し支えない。

錯語


話の流れの中に錯語つまり意味的に誤った語が挿入されることが診断的に重要である。
この尺度では、意味的誤りのみならず部分的または完全に新造語になっている誤りに着目し、得点は主としてそうした誤りの頻度による。
もっとも異常な“1”では、全発話に錯語が認められ、中間の‘‘4”ではおよそ1分間に平均1個の錯語がある。
また、この尺度は発話長が3語以下の患者に適用してはならない。
空欄にするか、恣意的に“7”とする。
再帰性発話などは錯語としない。

喚語


情報量の低い語、すなわち文法的連結語、代名詞、助動詞、不定語の数に対して、実質語と特定動作語の占める比率が評価される“7”の評価は、発話のほとんどが実質語と絵に描ける動作語であることを示す。
低情報語が相対的に多いことは、失文法を反映し、この尺度と相関する傾向のある特性である。
中間の“4”は,特定の名詞と動詞の比率が流暢性レベルに見合うと検者が評価した場合である。
“1”の評価は、特定の名詞や動詞がまったくない流暢な発話を指す。
ほかの尺度と異なり、“7”は正常行動ではなく“1”がもっとも偏椅しているわけではない。


Bensonは,非流暢型失語の発話の特徴として,以下の項目を挙げている。

  1. 発話量低下
  2. 努力の増大
  3. 構音の障害
  4. 発話長の低下
  5. プロソディー障害
  6. 内容語に比して機能語の減少
  7. 失文法
  8. 極端な場合は常同言語となること








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