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【厚労省】3月30日付の承認新薬‐日本発の抗体医薬が登場

【厚労省】3月30日付の承認新薬‐日本発の抗体医薬が登場

 厚生労働省が3月30日付で承認した新医薬品では、ポテリジェント技術を応用した日本発の抗CCR4抗体「ポテリジオ」、世界初の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬「ザーコリ」が、コンパニオン診断薬との同時承認によって登場した。
ポテリジオ点滴静注=協和発酵キリン
 「ポテリジオ点滴静注20mg」(一般名:モガムリズマブ)は、同社独自の強活性抗体作製技術「ポテリジェント」を応用した抗CCR4ヒト化モノクローナル抗体。
 再発・難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)治療薬として承認された。ポテリジオは、同社が承認取得した抗体医薬第1号製品、ポテリジェント技術を応用した世界初の抗体医薬となる。
 また、診断薬子会社の協和メデックスが、ポテリジオのコンパニオン診断薬として、「ポテリジオテストIHC、同FCM」の承認を取得した。免疫組織化学的手法(IHC)とフローサイトメトリー(FCM)を原理とした2製品により、ATL細胞がCCR4を発現しているかどうかを検査し、ポテリジオの投薬を判断する。
ザーコリカプセル=ファイザー
 「ザーコリカプセル200mg、同500mg」(一般名:クリゾチニブ)は、ファイザーが日米欧で同時開発した世界初の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬。
 今回、ALK融合遺伝子陽性の進行・再発非小細胞肺癌(NSCLC)の適応で承認を取得した。1日2回の投与でALK融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害し、癌細胞の増殖に関わる細胞内シグナル伝達経路を遮断する。
 また、ザーコリの投与については、アボットジャパンが同時承認を取得したALK2p23染色体の融合遺伝子検出診断薬「virusALK Break Apart FISH プローブキット」をコンパニオン診断薬として使用し、NSCLC患者への投薬を判断する。
キックリンカプセル=アステラス製薬
 「キックリンカプセル250mg」(一般名:ビキサロマー)は、アステラスが米イリプサ(現アムジェン子会社)から導入した高リン血症治療剤のアミン機能性ポリマー。
 今回、「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」の効能・効果で承認を取得した。薬価収載後は、アステラスが販売、アステラスと三和化学研究所が共同販促を行う。
プルモザイム吸入液=中外製薬
 「プルモザイム吸入液2・5mg」(一般名:ドルナーゼアルファ)は、遺伝子組み換えヒトデオキシリボ核酸(DNA)分解酵素製剤。
 昨年4月の未承認薬検討会議での検討結果を受け、中外が海外データなどを用いて国内申請を行い、「襄胞性線維症における肺機能の改善」で承認を取得した。海外では約70カ国で承認を取得済み。
アポカイン皮下注=協和発酵キリン
 「アポカイン皮下注30mg」(一般名:アポモルヒネ塩酸塩水和物)は、同社が英ブリタニア社から導入したドパミン受容体作動薬。レボドパ含有製剤の頻回投与、他の抗パーキンソン病薬の増量などで十分な効果が得られない場合に使用する。
ブレーザベスカプセル=アクテリオンファーマシューティカルズ
 「ブレーザベスカプセル100mg」(一般名:ミグルスタット)は、糖脂質が神経細胞内に貯まり、嚥下障害などを引き起こす「ニーマン・ピック病C型」の適応で承認を取得した。国内の推定患者数は16人と少なく、オーファン指定されている。
ミニリンメルトOD錠=フェリング・ファーマ
 「ミニリンメルトOD錠120μg、同240μg」(一般名:デスモプレシン酢酸塩水和物)は、「尿浸透圧、尿比重の低下に伴う夜尿症」の適応で承認されたデスモプレシンの口腔内崩壊錠。協和発酵キリンが販売、フェリング・ファーマと協和発酵キリンが共同販促を行う。
ビデュリオン皮下注用=日本イーライリリー
 「ビデュリオン皮下注用2mg」(一般名:エキセナチド)は、1日2回投与のGLP製剤「バイエッタ」を週1回製剤にした徐放製剤。
 海外では昨年6月に欧州承認を取得し、米国では申請中。

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