冷圧刺激 アイスマッサージ 嚥下訓練(Thermal-tactile stimulation)
前口蓋弓に冷温刺激や触圧刺激を加えることで、嚥下を誘発するための感受性を高め、実際に嚥下するときに咽頭期の誘発を高めるとされている。
主な対象者
嚥下反射惹起不全など。
具体的な方法
刺激子には、凍らせた綿棒、氷で冷やした間接喉頭鏡、舌圧子、スプーンなどを用い、口腔咽頭境界または口蓋弓に対して冷刺激を行う。レモン水などで味覚刺激を加えることもある。
Logemann1)による手順では、患者に口をあけてもらい、冷やしておいた間接喉頭鏡の背面を、前口蓋弓の基部に付け、上下に 5 回こする。左右あわせて 10~15 分行い、これを 1 日に 4~5 回繰り返す。しかし、どのくらいの回数や頻度が効果的か 2)、冷温・触圧・味覚のどの刺激が効果的か 3)、調査した研究はあるが、いまだ定説はない。臨床では、前口蓋弓のみでなく奥舌にも刺激を与えてから唾液嚥下を促すなど、直接訓練の前段階に間接訓練として行ったり、食べはじめに起こりやすい誤嚥の防止のために食前の準備運動として行うなど、広く用いられている。また、口の中に食物を溜めたまま嚥下運動が起こらない患者に対する、嚥下開始の誘発法としても有効である 4)。