前舌保持嚥下訓練(Tongue holding maneuver、 Masako’s maneuver、舌前方保持嚥下訓練)
本法は、咽頭収縮筋に対する間接訓練法として考案された。
咽頭収縮筋は上・中・下に分けられるが、嚥下時には咽頭腔を狭める、いわゆる蠕動様収縮運動を行って食塊移送に関与する。
本法施行時は舌が前方に固定されるので、嚥下動作時に咽頭収縮筋のうち、舌根部に起始の一部をもつ上咽頭収縮筋の収縮運動に負荷がかかり、同筋の筋力強化が期待できる。
主な対象者
咽頭期の嚥下圧生成が不十分で、咽頭のクリアランスが低下した患者。 咽頭期の舌根部と咽頭壁の接触不全。頭蓋谷のみ、または喉頭蓋谷を含む咽頭残留が認められる患者。具体的方法
挺舌した舌を上下切歯で軽く保持したまま空嚥下する。
1 セッションに 6~8 回繰り返し、1 日 3 セッション、挺舌位を徐々に増しながら 6~12 週間行う。挺舌位が大き
くなるほど嚥下筋にかかる負荷が増大します。
注意点
この手技は間接訓練としてのみ行い、直接訓練で行うことは避ける。
前方に保持した舌を強く噛んで傷つけないように、顎の開閉運動と保持のコントロールができるようにあらかじめ確認、訓練しておく。
前方に保持した舌を強く噛んで傷つけないように、顎の開閉運動と保持のコントロールができるようにあらかじめ確認、訓練しておく。
なお、嚥下訓練の多くの方法と同様に、本法の効果についてはエビデンスが求められている。