ウェルニッケ失語の症状
ウェルニッケ失語は、流暢で錯語が目立つ豊富な発話と聴覚的理解障害、復唱障害を特徴とする失語症です。
視野障害(右上四半盲など)以外の神経症状は伴わず、失語が表に立つ例が多いと言われています。
構音とプロソディーに問題にはなく、話す文章の長さも保たれていますが、内容は質問や状況に応じたものではないことが多いです。また、意味が伝わらない空疎な発話であることもあります。
しばしば多弁で、聞き手がさえぎらない限りしゃべり続ける語漏を呈することがあります。
患者は自己の言語障害に対する病識がないことが多いのもウェルニッケ失語の特徴です。
このような病態失認には理解障害が必発ですが、逆に理解障害が重度であっても必ずしも病識がないとはいえないと言われています。それは、病識がある場合、あるいは理解障害の改善とともに病識が出現してきた場合には、発話量があまり多くない場合もあるからです。発話は文法的には許容できる構造を持っていることが多いものの、錯語のために正常な文法構造にはみえないこともあります。
語性錯語がしばしばみられますが、発症初期には音韻性錯語や新造語がみられることもあり、錯語の頻発のため意味を汲み取ることができないジャーゴン失語の様相を呈することがあります。